法務の鉄人(6)『分かりやすいプレゼンの入門編』

法務担当者等の弱点

今回は、一般的な法務、コンプライアンス担当者(以下、「法務担当者等」)の弱点について言及したい。

法務担当者等によく見られる弱点は、プレゼンや説明が「一般人に分かりにくい」ことである。

これはどういうことかというと、事業担当者は事業を進める目線で話をするのに対し、法務担当者等は法律理論の目線で議論を始めたがるからである。

 

何故そうなるかといえば、まずは、知識の欠如である。事業担当者は、法律の知識に疎く(当たり前である。責められない)、反対に法務担当者等は、ビジネスを知らず、コミュニケーションも足らない。法務担当者等は、定期的に近くに行ってコミュニケーションをとるくらいが良い。

 

2番目に、誰かに説明してきた経験の少なさである。スピーチやディベートがあると有利かもしれないのだが、話ながら相手の様子を観察しリズムを調整しながら、時間も計算して話していくのである。説明するからには、分かるような説明でなければ意味がない。

 

プレゼン・説明力を上げるためのトレーニング

法務担当者等が、説明資料を分かりやすく作るためのトレーニングを紹介しよう。

説明資料を作るときに、まず「英語」で骨子を書いてみることである。

日本語は言語的に、長々とだらだらと書けてしまう言語である。反対に英語は、あれもこれも盛り込んだ長文は書きにくい。その比較的短めでクリアな英文を重ねていくと説明全体が分かりやすく明快になる。

 

その後できれば、中身も短めの英文で書き進めてみよう。

 

英語?と思うかもしれない。英語なのである。

人にも得手不得手があるように、言語にもそれがある。英語は論理的に話すのに向いている。

 

もう1つ理由があって、法務担当者等として、英語は最低限必要な時代になってきていることがあげられる。業務が日本語でも、契約は日本語でも必要である。

何故なら、コミュニケーションのツールとして最も世界で使えるものが英語であり、増える多くの外国人労働者との共通言語だから。

 

確かに翻訳ソフトは発達してきている。それでも、直にやりとりするスピードには敵わない。そして、直にやり取りする感覚と、間に通訳や翻訳ソフトが入るのは気持ちの面で違いがあるのである。

英語のレベルを上げること、これもコミュニケーション能力の向上に繋がる。

 

説明資料を作ったら、説明の練習をしてみよう。PCでもスマホでも簡単に動画が撮影できるから、自分の説明する姿を撮影してみてみよう。上手く出来ていると思っていたのに、下を向いて話していたり、話の内容が分かりにくかったりと、思っていたよりも、出来ていないことがよく分かる。場合によっては、わりとショックかもしれない。

 

自分が出来ないことから目を背けないで、勉強したり、悪いところを直しながら一歩ずつ成長していきたいものです。

 

 

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本コラムは著者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラム内容を業務判断のために使用し発生する一切の損害等については責任を追いかねます。事業課題をご検討の際は、自己責任の下、業務内容に則して適宜弁護士のアドバイスを仰ぐなどしてご対応ください。

 

 

【筆者プロフィール】

Harbinger(ハービンジャー)

法学部、法科大学院卒。
司法試験引退後、株式会社More-Selectionsでインターンを経験。

その後、稀に見る超ブラック企業での1人法務を経て、スタートアップ準備(出資集め、許認可等、会社法手続き、事業計画等)を経験。転職した後、東証一部上場企業の法務部で、クロスボーダーM&Aを50社ほどを担う。また、グローバルコンプライアンス体制の構築に従事。

現職はIT企業のコンプライアンス担当。大学において、ビジネス法の講師も行う。

 

 

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